突発性難聴に関して

診断基準:
主症状   1.突然発症 2.高度感音難聴  3.原因不明

重症度分類
Grade1: 純音聴力検査5周波数閾値平均40dB未満
Grade2: 40dB以上、60dB未満
Grade3: 60dB以上、90dB未満
Grade4:90dB以上

治療度成績例(2012年度発症突発性難聴の疫学調査より)
初診時Grade2→固定時2  23%
        Grade2→1           75%
初診時Grade3→固定時3  26%
         Grade3→2          26%
         Grade3→1          45%
初診時Grade4→固定時4  29%
         Grade4→3          46%
         Grade4→2            4%
         Grade4→1          21%
当クリニックでは、(Grade2)Grade3以上は拠点病院へのご紹介となります。

原因と療養
突発性難聴は内耳循環障害やウイルス性内耳炎が病因として支持されています。
2017年以降、中規模病院やクリニックで診断してきた経験的には、循環障害が疑える場合と、帯状疱疹ウイルス再活性化が疑える場合が多かったです。(大学病院と違い、第一線の医療機関受診時は発症後まだ日数があまり経っておらず、理学的所見や 病歴聴取時の患者様の記憶がまだ鮮明な為、(血液検査も加えて)診察時に循環障害か帯状疱疹ウイルス再活性化のどちらかが疑われる場合がほとんどでした。)その他の疑いは、ほとんどありませんでした。
◎循環障害が疑われる場合
脳の循環障害と同様に血流を改善させることに重点が置くことが重要と考えています。(学会の講義で、発症直後に急速補液を行い治癒した、といった話を聞いたこともあります。)出来るだけ早めの受診を勧めます。発症直後~医療機関受診前、診察後の臥床安静と塩分を含む水分摂取は大切と考えています。
◎帯状疱疹ウイルス再活性化が疑われる場合(ヘルペス疹がはっきりしていれば不全型ハント症候群)
耳内・耳介やその周辺、口腔咽頭の、経験的には詳細な観察、微細な皮疹粘膜疹から強く疑います。(耳内・耳介やその周辺の皮疹は一見無く顕微鏡で詳細に観察するとある場合がある程度あり、肉眼では、経験的には、口腔粘膜にわずかに点状血痂の所見があるのみのことが多い為、口の中も詳細に観察を行います。)治療中に、誘因が回避できている場合は薬が期待通りに効き発疹所見も消失し難聴も改善していきますが、誘因が回避できていない場合は所見が上手く消えず難聴も改善しにくいです。抗ヘルペスウイルス薬はウイルスを失活させる薬ではなく増殖を抑制させる薬であり効果が出だすまでに何日かかかる為、早めに受診してください。安静は免疫力にとってやはり大切です。